黒鍵に名前をつけることに至った理由
私のミニ体験談
ここで 黒鍵に音名をつけた経緯を知っていただくために 私の体験談に再びお付き合いください。私は楽譜を読むのに 高校生までドレミファソラシを使い 半音が出てくるとドレミのままの音名で 頭の中で半音あげたり下げたりしていました。
その後 音大では メロディーを歌うとき以外は ドイツ音名Cツェー、Dデー、Eエー、Fエフ、Gゲー、Aアー、Hハーを使って授業が進むので 相手に音名や調を伝える際は ドイツ音名を使っていました。
もちろん ドイツ音名が使われるのには便宜的な理由があります。それは シャープ、フラットがつくと音名が変わるので 口答ではっきり人に伝えられるからです。半音上がる(シャープがつく)と ISがついてCisとかDisに、半音下がる(フラットがつく)と ESがついてCesとかDesとなります。
しかし ドイツ音名がいくら便宜的と理解していても 楽譜を読むときや暗譜するときには 速く発音する(口の回る)ことの出来る 幼い頃から慣れ親しんだイタリア音名ドレミファソラシに戻っていました。鍵盤楽器であるマリンバやピアノ演奏での私の悩みは 音を覚えて演奏するときに シャープの音もフラットの音も全てドレミファソラシであるために 暗譜する際に臨時記号の多い複雑な音列が続くと 覚えにくく弾き間違いが多くなることでした。
その後 ドイツに留学した私をカルチャーショックが待っていました。アルファべットを母国語としている人達は メロディーを階名で歌う際 シャープ、フラットがつく音名をとても早く言うことが出来るのです。たとえば 半音階 ド・ド♯・レ・レ♯・ミ・ファ・・・が C・CIS・D・DIS・E・F・・・(ツェー・ツィス・デー・ディス・エー・エフ)となるわけです。シャープでの表現とフラットでの言い回し各々に音名があるので 幹音が何となく半音上がったり下がったりするのではなく それぞれの鍵盤そのものの名前が頭の中に響いていたのです。
鍵盤に音名を書いたり貼ったりすること
小さい子ども達への鍵盤楽器導入
弾けるようになった曲を 違う鍵盤楽器でも弾けると楽しいものです。
そのためには 先に説明したように鍵盤の音がわかる必要があります。その必要性を私が感じた体験談がもう一つあります。
私の生徒が4歳のときに ドイツ音名を鍵盤の上にアルファベットで記載してある子供用の木琴で とても上手に演奏をしていました。ある日 同じ曲をマリンバで弾いてみる事にしましたが 楽器を前に泣きべそ顔、どうしたのかを尋ねると 「いつも弾いている木琴には 一つ一つの鍵盤の上に文字(アルファベット)が書いてあったけれど このマリンバには何も書いてないから弾きたい音の場所がわからない、」と言われました。
彼女は鍵盤上のアルファベットの音名を一つのマークと理解し 今まで演奏していたわけでした。一方 教師の私は 鍵盤の上の記載はアルファベットなので読めないと考えてレッスンをしていたので びっくりしたわけです。
この経験が 階名と鍵盤の位置の関係を子どもたちに知らせ それぞれの鍵盤の音がわかる指導法を考える大きなきっかけとなりました.その後の生徒たちの変化を見ていますと 鍵盤上に階名が書いてなくても 鍵盤楽器であれば 楽器が変わっても自分で考えて 曲を自由に弾けるようになりました。今日はマリンバ 次はヴィブラフォン キーボードでも弾いてみようかなと たのしさも数段大きくなっております。